その川は、まるで誰かの長い溜息を形にしたかのように、音もなく流れていた。 上流には暗い森が広がり、そこにはおそらく、僕たちがまだ名前を付けていない種類の沈黙が蓄積されているはずだった。
それはある火曜日の午後に流れてきた。

僕は川辺の古いベンチに座り、ペーパーバックの裏表紙を眺めていた。すると、視界の端に「それ」が映り込んだ。最初は巨大な陶器の破片かと思った。しかし、それはあまりにも正しく、あまりにも不自然に滑らかな曲線を描いた桃だった。それはまるで、熟練の調律師が完璧に調整したスタインウェイの鍵盤のような、一点の曇りもない存在感を放っていた。
老いた女(彼女は世界が始まった時からそこに立っていたような顔をしていた)がそれを拾い上げ、僕らは台所のテーブルでその果実を真っ二つに割った。果実が裂ける音は、遠い教会で鐘が鳴るような、ひどく厳かな響きを持っていた。
中には一人の少年がいた。彼は何も身に纏わず、ただ静かに、深い井戸の底から夜空を見上げるような瞳で僕らを見ていた。そこには驚きもなければ、恐怖もなかった。ただ、そこに在るという事実だけが、冷たく澄んだ水のように提示されていた。
「やあ」と彼は言った。 「やあ」と僕は答えた。 「僕はどこかへ行かなくてはならない。論理的な帰結として、僕はそうすることに決めているんだ。わかるかい?」 「なんとなくはね」と僕は言った。
僕らは彼を「桃太郎」と呼ぶことにした。それは名前というよりは、むしろ記号に近いものだった。
彼は成長し、ある日、キャンバス地の防水バッグに「いくつかの丸い食べ物」を詰め、旅に出ることにした。それは僕が何時間もかけて作り上げた、沈黙を穀物で固めたような質素な食糧だった。目的地は「島」と呼ばれていた。そこが地図上のどこにあるのか、あるいは誰かの意識の裂け目にあるのか、誰も正確には知らない。ただ、そこには回収されるべき古い記憶があり、清算されるべき不透明な負債があるということだけが、あらかじめ決められたプロトコルのように存在していた。
旅の途中で、彼は三つの影に出会った。一匹の犬と、一匹の猿と、一匹の雉。彼らは皆、どこか遠い場所を眺めているような、あるいは自分自身の一部をどこかに置き忘れてきたような顔をしていた。
「その丸い食べ物を一つ分けてくれないか?」と犬が尋ねた。彼はひどく使い込まれたレインコートのような毛並みをしていた。「もちろん、タダでとは言わない。僕は君の影となって、暗闇の中を歩く準備ができている。それが僕に与えられた唯一の役割なんだ」
「構わないよ」と彼は言った。「でも、君はそれを飲み込むことで、ある種のシステムの一部になる。僕たちの旅は、おそらく何の意味も産み出さない。それでもいいのかい?」
「意味なんて、結局のところ、僕たちが自分自身の重力を確認するための砂袋のようなものさ」と犬は乾いた声で答えた。
彼らはチームになった。彼らはカセットテープから流れる古いスタン・ゲッツの演奏を聴きながら、冷たい潮風に吹かれ、灰色の海を渡った。船底を叩く波の音は、まるで誰かがタイプライターで無意味な文字列を打ち込み続けているかのように、単調で執拗だった。
彼らが辿り着いた場所には、想像していたような地獄はなかった。そこにあったのは、巨大なコンクリートの建造物と、意味を失った記号たちが散乱している広大な廃墟だった。そこには「鬼」と呼ばれる存在たちがいた。しかし、彼らには角もなければ、牙もなかった。彼らはただ、自分たちがなぜそこにいるのかさえ忘れてしまったかのように、所在なげに中庭の錆びついたベンチに座り、存在しない新聞を読みふけっていた。
戦いは、拍子抜けするほど静かに始まった。それは暴力というよりは、むしろ「世界の整合性を取り戻すための、ひどく退屈な事務手続き」に近いものだった。
血が流れ、構造物が音もなく崩れ、最後に残ったのは、耳が痛くなるほどの圧倒的な静寂だけだった。桃太郎は廃墟の奥で、埃を被ったいくつかの古い木箱を見つけた。中には金銀財宝ではなく、ただの古い手紙や、誰のものともしれない靴、そしてゼンマイの切れた置き時計が入っていた。
「これで終わりなのかな」と猿が言った。彼は自分の前足についた埃を、丁寧な手つきで払った。 「いや」と桃太郎は首を振った。「これはただの通過点だ。僕らはこれらを持ち帰るけれど、それは単なるメタファーに過ぎない。僕たちが本当に手に入れたのは、ここではないどこかへ向かうための、正しい予感なんだ。おそらくね」
彼は村に帰り、再び元の生活に戻った。しかし、何かが決定的に変わってしまった。彼は時折、真夜中に目を覚まし、キッチンで一杯の冷えた水を飲む。そして耳を澄ませる。そこにはもう鬼もいなければ、完璧な曲線を持った桃もない。
ただ、あの丸い食べ物の微かな甘みと、冷たいコンクリートの壁の感触だけが、消えないインクのように彼の魂の奥底に、いつまでも残っていた。彼は再び眠りにつく前に、一度だけ、自分が本当に「ここ」にいるのかどうかを確かめるように、自分の左腕を軽くつねってみる。そして、遠い潮騒の音に耳を澄ませる。
それは、世界の終わりを告げる音のようでもあり、新しい孤独の始まりを祝う音のようでもあった。